クモのクモ吉
ある月夜の次の朝、我が家のベランダに大きなクモの巣ができました。
5歳の息子はむしが大っきらい。
「クモがいる家はいやだ。お引越ししたい(涙)」
と嫌がりました。
そのクモに私は「くもきち」という名前を付けて眺めてました。
くもきちはこんな虫なんて来ないはずの空に近いマンションのベランダで
くるまずもない獲物を静かに狙っています。
「くもきち、えさ来ないね~」と毎日クモに話しかけます。
そのうち虫が嫌いだった息子も
「くもきち~えさこないね~」
と声をかけるようになりました。
あるひ、
「くもきちにあげる えさ ちょうだい」
と私にいいました。「クモはむしをたべるんだよ、おうちにはないなぁ」と私は答えました。
そしてある月夜の次の朝
くもきちはえさがないこの巣に見切りをつけてどこかに行ってしまいました。
「くもきち、いなくなっちゃったね~」
息子はなんとなくほっとしたような、残念そうな、そんな気持ちになりました。
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